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予定利率による保険料の割引は、保険料の一部を責任準備金として積立て、それを株、債券、不動産、一般貸付などを介して社会に再投資し、そのリターンを契約者に還元するものであり、そこには金融機関としての社会的貢献が存在します。
しかしながら、予定解約率による保険料割引の場合は、解約した契約者の責任準備金を他の契約者の責任準備金に充当することを割引原資としているため、保険料の再投資による経済発展という社会的貢献は存在しません。
現在、保険会社や商品によって定額保険の予定利率は0.5%程度の格差がみられます。たとえば、予定利率2%の一般の終身保険の保険料よりも、予定利率1.5%の低解約返戻金型の終身保険の保険料の方が予定解約率の寄与により仮に割安になったとしても、責任準備金再投資による社会貢献度は、低解約返戻金型の場合相対的に劣ると言えます。
生命保険会社は社会的相互扶助の機能を持つ一方、責任準備金等の積立金を社会に再投資するという金融機関としての一面を持っています。金融機関としての役割、使命が、責任準備金等を再投資し、その利潤を原資に保険契約者の保険料負担を軽減することとすれば、低解約返戻金型の採用による保険料の割引は本来の姿とはいえないでしょう。
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低解約返戻金型の場合、見かけの保険料は割安でも、その代わりに低解約適用期間に解約した顧客が責任準備金の一部または全部を放棄することになるので、契約者全体で見ると、総合的支出負担は減ってはいません。社会全体で見れば、消費者に対して保険料等の負担を軽減する機能がないといえます。
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低解約返戻金型の商品は、低解約が適用されている期間中の契約者の解約が増えれば増えるほど、保険会社の利益が増える仕組みとなります。すなわち、サービスの低下による顧客離れであっても、それが保険会社の利益拡大につながることになり、健全性を損なう危惧のある仕組みと言えます。
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